お金にならないお金の話

お金は使うと無くなる、これを公理とする

好景気は悪

好景気は悪

経済政策が迷走する原因は単純である。経済の正解が不明だからである。政策は、問題点の把握、向かうべき方向の確認、進む方向の修正の手順が必要である。正解と現状の差異を見つけ、その差異を修正する行動が政策であるが、正解は誰にも分らない。自然界の正解は勝者の行動であり、勝者は競争の結果であるから、正解は結果である。結局、政策は正解の予測を元に行われ、人間は未来予測が苦手である。

このように、経済政策は競争原理が一番であり、思想に基づく政策はうまくいかない。さらに、予測の元となる思想自体も間違いが多い。間違った思想から実行される政策が正解となる可能性は偶然である。

一例として、好景気がある。用語からも分かるように、企業や労働者にとって好景気は好ましい現象である。しかし、景気は中立であることが経済の必須あり、好景気も不景気も悪である。日銀の役割は景気の中立性の確保である。景気の中立が物価の安定となり、好景気も不景気も物価を不安定にする。日銀の役割は景気の中立確保であり、物価目標は政府の役割である。

日銀が劣化しているのか、あるいは国民を欺いているのか。日銀が物価目標を設定し、当然失敗している。プラザ合意後も予防的規制緩和を行い、好景気を誘発し、その後経済を崩壊させている。結果的には、破壊工作が実行されているように見える。

これまでの考察から、インフレは資本ストックの増加であり、インフレは国富の蓄積である。国富の蓄積には、消費を抑え、投資を増加させる必要がある。この時、総生産額は減少する可能性がある。デフレからインフレに転換するには、一時的な総生産額の低下を受け入れる必要がある。一人ひとりが今の贅沢を我慢し、子孫のための資本ストックを生産する必要がある。給付金を求める国民には難しい選択である。