お金にならないお金の話

お金は使うと無くなる、これを公理とする

スミスの資本主義

スミスの資本主義

アダムスミスの解説書を読むと、貨幣原理主義である重商主義を批判する形で、生産設備の蓄積が大切であることを主張していることがわかる。スミスの資本主義は設備資本主義である。

経済学の父と呼ばれるスミスの主張は設備資本主義であるが、そこから生まれたのは、共産主義(共有資本主義)と貨幣資本主義の対立であり、共産主義の敗北によって、貨幣資本主義をより先鋭化させた金融資本主義が成長している。せっかく、スミスが豊かになるための経済原則を示してくれたのに、原則を無視したイデオロギー論争になってしまった。

設備資本は誰が所有していようと国民全体に恩恵を与えるのであるから、設備資本の蓄積を促すシステムが良い経済システムである。一つの答えは自由市場であるが、自由市場では参加者全員がプレーヤであり、政府も貴族も特権がなくなる。管理者が居ないことが良い経済システムの条件であり、フェアプレイに基づいた“見えざる手”に委ねることが最良である。

当然、特権を享受したい人は、策を練り、思想を展開して、いかさま(チート)を仕掛けてくる。一例として、日本政府は破綻しないのだから赤字国債は問題ない、との主張がある。日本政府もプレーヤであり、収入以上の支出は禁止である。企業は赤字が継続すると破綻する、これがルール。赤字だと破綻するから自由競争が成立する。日本政府は破綻しない、だから赤字国債は禁止なのである。日本政府は特別なプレーヤであり、破綻しない。日本政府が基本ルールである支出限界を守るためには、赤字国債を自ら禁じる必要がある。ちなみに、建設国債は償還が可能であり、企業の借り入れと同様に問題ない。

経済の基本ルールは3つ、消費限界、利益追求、自由市場。消費限界は収入以上の消費の禁止、利益追求は低コスト高付加価値の追求、自由市場は市場の自由競争を確保すること。そして経済の目的は、生産された付加価値を消費すること。