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ウイルスの領分

ウイルスの領分

ウイルスはどうして感染するのだろうか。もし感染しないウイルスが居たら、そのウイルスは宿主の死亡と共に世界から消滅してしまう。偶然、感染する機能を示す物質がウイルスとして存続することになる。結果として、ウイルスは感染することを目的とした物質として存在する。ウイルス自身は目的などない、自然の一部として存在するのであろうが、その活動からは目的を見出すことができる。

それでは、ウイルスの目的、ウイルスの勝利条件は何であろうか。ひとつはできるだけ多くの生物に拡散することである。もうひとつは感染した生物内で長期間存続することである。その為には、宿主が長生きする必要もある。人間に感染するウイルスにおけるパーフェクトゲームは、人間全員に感染し、人間の寿命を延ばすことである。感染により宿主が死んでしまう場合は、ウイルスの失点である。人間を殺すウイルスは敗者であり、存続できない。また、人間全員に感染することは勝利ではあるが、さらなる感染が出来ない、生存戦略を変更する必要が発生する。勝利によるゲームオーバーであり、危険な勝利である。

このように考えると、新型コロナウイルスの適切な生存戦略は、人類全員には感染しない程度の感染拡大と宿主が死なない程度の体内増殖である。それでは、実際の新型コロナウイルスの挙動はどうであろうか。日本のデータを調べてみる。

 

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グラフは、横軸が時間経過を示し、縦軸は人数を示す。横軸の目盛りは8週間であり、全体で2年間である。縦軸は、1、10、100と目盛り毎に10倍になる対数目盛りであり、最大値は1億である。ここでPCR陽性者を感染者と仮定する。PCR陽性者の累計がグラフの上限に到達すると危険な勝利となる。グラフにはPCR陽性者の累計と毎日の新規陽性者を示した。

PCR陽性者の累計は2年間で170万人、人口の2%以下である。グラフの傾斜は緩やかになる傾向であり、累計感染者は全人口に到達しないと判断できる。また、平均寿命の低下も見られない。よって、適切なゲーム進行である。

新規陽性者の変動を見ると、2年間で5つの波が存在する。但し、3番目の波はふたつの波が重なった結果、不明瞭な形状をしている。それぞれの波は8週間上昇し、その後下降する。下降の期間は次の波までであり、一定ではない。上昇速度は、第一波、第二波、第五波では1週間毎に1,5倍で共通している。1.5倍を8週間継続すると25倍となる。残りの波の上昇速度はこれより低い。もし、毎週1.5倍を8ヶ月継続すると一億人を超えてしまい、危険な勝利となる。感染拡大期間を8週間とすることで、危険な勝利を回避している。結果、新型コロナウイルスの戦術は8週間の感染拡大を年3回行うことであり、これにより生存を維持している。

ところで、人類は新型コロナウイルスの発見に大騒ぎをしている。日本のデータからは、人類の大騒ぎにウイルスは反応していないことが分かる。8週間の感染で最大25倍に拡大する波を継続している。感染者を計測する方法を発見したことにより、この計測結果を利用して人間の活動を制御する方法を試しているが、生物としての人間とウイルスの関係には影響を与えていない。ここでも、生物階層と経済階層が独立していることを実感できる。

感染拡大の間隔が半年であれば、PCR陽性者は200人から25倍の5000人に上昇し、元の200人に減少するリズムである。この程度ならば、ありふれた風邪であろう。日本社会としての希望は、新型コロナウイルスの流行が年2回に減少することであろう。自然に対する姿勢は、施策ではなく、祈ることなのだろうが、新技術を試すことも人類の習性であり、やはり大騒ぎが人類の領分なのだろう。