お金にならないお金の話

お金は使うと無くなる、これを公理とする

リスク分散

リスク分散

新型コロナウイルスの発見に伴って、緊急承認されたmRNAワクチンを接種することが決まった。8割の人が参加し、2割の人が不参加である。ワクチンの目的が治療とは異なることは理解しているが、それ以上はあまり考えたことが無かった。ワクチンの目的について少し考えてみた。

ワクチンは予防薬であり、危険な病気を回避するために利用する。危険な病気を回避するために、予め弱い病気にかかることで、体に耐性を与える。しかし、全員が危険な病気に接近するわけではないので、弱い病気にかかることが純粋な損である人も居る。これは保険の原理と同じである。

入院保険では、一律の保険料を払い、入院した人は入院費用の負担が軽減される。入院しなかった人は保険料を損するが、リスク分散の経費として納得できる。この時、軽減したリスクは入院した人が受け取った見舞金であり、分散したリスクは保険料の合計である。保険会社が利益を上げるためには、分散リスク(保険料の合計)が軽減リスク(見舞金)より多い必要がある。即ち、リスクの合計は保険により増えることになる。保険は、集中するリスクを軽減する為に全体のリスクを増加させている。そして、保険加入者はリスクの増加を適切であると判断している。不適切であると判断した人は保険に加入しない。

ワクチンはリスク分散である。重症リスクや死亡リスクを低減する。一方で、ワクチン接種者全員が副反応のリスクを負担する。ここまでは保険と同じである。相違点もある。ひとつはリスク負担が一律でないことである。もうひとつはリスクの合計が算定出来ないことである。入院保険と比較すると、重大な制度欠陥と感じる。

リスク負担が一律でないとは、副反応が軽微な人から重篤な人まで分布が現れることである。回避した病気よりもワクチンによる病気の方が、リスクが高い場合も考えられる。これでは、リスク分散ではなく、リスクの移動である。正確な情報は得られないが、新型コロナウイルスのmRNAワクチンは、高齢者から若年者へ、リスクを移動している。

全体リスクの増減は平均寿命の変化で示されると思うが、ワクチン導入段階で基準を設定しないので、結局判断には利用できない。8割の人が参加すると比較検証が難しいと思うが、どうだろうか。リスク分散と全体リスクの低減は異なる、リスク分散が全体のリスクを低減するとは限らない。

入院保険が成立するのは、経済活動の一部だからである。経済は、人間が創り出した階層であり、人間の操作で完結する。人間は経済階層と生物階層の両方で生きていると考えると、現象を整理できる。経済階層は人間だけが利用する階層であり、権力や財力で思いのままにできる。その為、何でも制御できると感じ、生物階層の制御にも挑戦する。ワクチンは経済階層の保険制度を生物階層に持ち込んだものだろう。挑戦とは新しい事象であり、評価する基準は無い。しかし、仮に平均寿命を評価基準とするならば、新型コロナウイルスは日本人の平均寿命を変化させていないため、ワクチンが生物階層でプラスに働く要素は無い。

新型コロナウイルスは3万塩基のmRNAである、新型ワクチンは詳細不明のmRNAである。ワクチンとは病気を回避するために病気にかかる物質である。

 

新型コロナウイルスのゲノムとタンパク質のはたらき

新型コロナウイルスのゲノムは一本のRNAからできています(例えばインフルエンザウイルスのゲノムは8本のRNAから成ります)。この一本鎖RNAは約3万文字の塩基のならびで構成されていて、mRNAとして機能します。このRNAには「ウイルスゲノムを複製するためのRNA重合酵素」や「ウイルスが作ったタンパク質を切断して活性化させるタンパク質切断酵素」、「ウイルスの殻に存在してウイルスの感染性を決めるスパイクタンパク質」、「殻をつくるタンパク質」などが記載されています。引用:国立遺伝学研究所