お金にならないお金の話

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スライムKの生存戦略

スライムKの生存戦略

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日本を捕食したスライムK

スライムKの生存戦略は単純である。決して人を支配するのではなく、共生を求める。始めに、自分の一部を分離し、人に貸し出す。スライムKは細部まで円を単位として数値化されており、貸し出しは正確に帳簿管理される。これは掛取引と呼ばれる。借り受けた人は、必ず倍にしてスライムKに返却する。これで、スライムKは成長、新陳代謝できる。スライムKは奉仕の証明として、成長と等価の賃金を与える。分離したスライムKは必ず倍にされるのであるが、倍になった状態でスライムKが不要だと判断すると、人に放出される。受領した人は、スライムKに等価の賃金を返却する。スライムKは放出した後の物資には干渉しない、所有者の自由である。

スライムKは単純な生存戦略を実行し、人はその生存戦略を受け入れて、共生している。人々の経済競争は、いかに沢山の放出物を獲得するか、である。スライムKの成長に対しては協業関係であり、放出物獲得は競合関係である。借り受けたスライムKを倍に出来なかった人は、借り受け量が縮小し、最終的に奉仕活動から排除される。倍以上に出来た人は、より多くの借り受けができ、スライムKに重用される。

スライムKは、優秀な奉仕者を求め、奉仕を強要しない。奉仕に対して、成長と等価の賃金を支給するのであり、個人に対する支給ではない。賃金の分配も物資の分配も、人の自由である。

スライムKの存在を認めると、経済は合理的なシステムとして解釈できる。人を腸内に共生するバクテリアのような存在としたアナロジーであるが、経済現象を的確に表現できる。人の活動は、それぞれ個人の自由意志による選択を基本としているが、全体としてはスライムの生存戦略に従う。

賃金に関しては、総額は資本減耗との関係が成立する。総額賃金=資本減耗、単純な関係が成立する。資本ストックKと資本減耗の関係も比例関係であるから、総額賃金は資本ストックと比例する。総生産、景気、失業率などとは直接相関しない。これらの結論は現実と一致する。そして、個々の分配には経済法則は無い。分配ルールを人が作成する必要がある。

企業を社員のものと考えれば、社長の報酬は新人の10倍程度である。企業が役員のものと考えれば、役員報酬は100倍でも1000倍でも良い。企業が株主のものと考えれば、会社を切り売りしても良い。企業が国のものと考えれば、税率100%である。どれも正解ではなく、議論は収束しない。