お金にならないお金の話

お金は使うと無くなる、これを公理とする

日本の通貨は3種類

日本の通貨は3種類

財理学を商品とお金の理を追求する学問と定義した。名称は独自に付けた仮称であり、同様の学問は経済学の内部、或は外部に既に存在すると考えられる。今のところ、人間の幸福を無視する考察は発見できず、探索中である。ここでは財理学を使用するが、見つかり次第修正する。

始めに、お金、貨幣、通貨、この3種類の言葉の違いを考察する。お金は、日常的に使う言葉であり、この中では最も曖昧な概念となる。貨幣は、硬貨と紙幣であり、お金の形式に主眼を置く概念である。歴史的に、貝、石、粘土、布、金、銀、金属、紙などの媒体が存在する。現在では、銀行預金、ビットコインなど、無形の形式も存在する。通貨は、流通貨幣であり、公式貨幣、公認貨幣の意味を持つ。

日常生活では、使用するお金は日本政府が公認する貨幣であるから、お金、貨幣、通貨は同一である。同一でありながら、異なる言葉があり、異なる定義があることから、日常では不要であるが、概念として必要な情報が3種類の言葉に含まれていると考えられる。

通貨が公認貨幣であるから、論理的に、非公認貨幣が存在しても良い。日常使用の貨幣は通貨であるから、通貨で無い貨幣は違和感がある。非合法のように感じる。貨幣に近いものを探すと、小切手、債券、回数券、図書券、商品券、楽天ポイント電子マネー、株券、これが全部貨幣ならば、なんでもお金であり、誰でもお金を創れる、やはり公認貨幣だけが貨幣であり、それ以外は貨幣類似商品なのだろうか。貨幣と商品の境界も曖昧になる。これが正解ならば、貨幣は特殊ではあるが商品である。

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回数券はお金だろうか

歴史的には、貨幣の材質、形状は多様であることが分かっている。貨幣の本質が、形式ではなく、多様な貨幣に共通する性質、概念である可能性がある。お金は、貨幣の概念を示すと定義できる。或は、概念と形式と公認の有無をすべて含む全体をお金と定義できる。お金とは、広義には経済で利用される貨幣システムであり、狭義には貨幣の概念である。狭義のお金は、お金とは何かの解答のひとつである。広範な考察が必要であり、ここでは結論を保留する。

回数券がお金であれば、本当に誰でもお金を発行でき、現に、誰もがお金を発行している状態である。この考えを否定する要素は無いと同時に、公認貨幣である通貨の必要性が現れる。円滑な経済活動には、共通する貨幣単位と信頼できる貨幣が必要である。貨幣の発行が容易であるから、公認貨幣として通貨が必要となる。

回数券の性質を整理する。回数券がお金であれば、お金の性質として継承できる。第一に、発行者と利用者が存在する。発行者は財、サービス、効用、価値を提供すること無く、先行して報酬を受け取る。結果として、発行者は債務を獲得し、利用者は債権を獲得する。第二に、利用者は債権の譲渡が可能である。発行者が受け取ると役務が実行され、その時点で債務と債権が消滅する為、発行者が利用することは出来ない。紛失した場合は、債権を失うが、債務が同時に消失するとは言えない、後日発見される可能性がある。能動的な処分についても同様である、第三者が拾得し再生する可能性がある。まとめると、回数券には発行者と利用者が存在する。利用者間の債権譲渡と発行者への債権行使の2種類の手続きが可能である。また、利用者による処分の手続きは成立しない。

次に、通貨について整理する。通貨は、硬貨、紙幣、預金の3種類で構成される。硬貨は政府が発行する貨幣であり、代表として五百円硬貨がある。紙幣は日本銀行が発行し、1万円札が代表である。預金は市中銀行が発行し、銀行通帳が貨幣を代表するが、デジタルデータが実際の貨幣である。硬貨は造幣局、紙幣は国立印刷局、預金は銀行の信用創造で製造され、それぞれ独立した貨幣である。

回数券の性質を参考に、発行者と利用者の組合せを考えると、政府発行の貨幣は、日本銀行市中銀行が利用者であり、両者で貨幣の譲渡が可能である。日本銀行発行の貨幣は、市中銀行と政府が利用者であり、譲渡が可能である。市中銀行の発行に対して、日本銀行と政府が利用者であり、譲渡が可能である。実際の必要性は不明であるが、通貨を3種類とすることで、自由な貨幣の譲渡が可能となる。

企業と家計は、どの通貨に対しても利用者であり、3種類の区別を意識することなく、譲渡が可能である。通貨同士の譲渡では、等価交換が成立する。これは、複数の通貨の存在が獲得した機能である。回数券には無い機能であり、等価交換が通貨の機能であるか、貨幣の機能であるかは、明確にする必要がある。国家間の貨幣交換では、刻々と交換レートが変更されることから、貨幣交換と通貨交換は異なることが分かる。等価交換では、交換を繰り返しても等価である必要があることから、時間に対しても不変である必要がある。よって、等価交換は通貨に成立する機能である。貨幣には等価交換の機能は無い。ここまでの考察では、回数券は貨幣である。

予想外であるが、等価交換は通貨の機能であり、政府の公認する貨幣が3種類必要であり、3種類の通貨発行体が通貨システムを成立させている。さらに別途、政府貨幣のみでの通貨運用を考え、通貨システムの確認を行う。