お金にならないお金の話

お金は使うと無くなる、これを公理とする

掛取引

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名水百選 ごろごろ水

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ごろごろ水を小売店で購入する場合を想定して、購入までの行程を考える。採取地では、自分で汲んで飲むことが出来る。この場合、お金や経済は関係ない、自然の水を自然の一部として利用するだけである。

行程の最初は、取水業者が取水する。この時、管理組合は、管理費用の伝票を発行し、取水業者に渡す。取水業者は、充填企業に水を引き渡し、同時に水の代金を示す伝票を発行し渡す。この水の代金は、管理組合の管理費と取水業者の人件費と減価償却費の合計である。この後、販売会社が購入し、小売店に出荷される。この流通過程でも伝票が発行される。小売店には、ペットボトル入りのごろごろ水と販売会社からの伝票が届く。小売店では、伝票が原価であり、販売価格と原価の差額が減価償却費と人件費である。小売店の受け取る伝票は一枚であるが、中身は係わった企業の人件費と減価償却費の集合体である。販売価格を示した値札を、小売店から消費者に当てた伝票と考えると、値札は人件費と減価償却費の集合体である。

ここまで、貨幣は使われていない。伝票と賃金が計上されるが、すべて帳簿上の出来事である。小売店でごろごろ水を購入すると、貨幣が消費者から小売店に移動する。月末に決済が行われ、全ての伝票が処理され、それぞれの賃金が貨幣で支払われる。企業の得た減価償却費は業務維持費用であり、他企業から発行された伝票の決済に使われ、貨幣は残らない。

分かることは、企業間の活動は貨幣が不要なことである。貨幣を利用することもできるが、振込みに手数料が必要な現実を考えると、貨幣を出来るだけ使わないのが、業務標準である。貨幣が必要となるのは、消費者と小売店の間、企業と労働者の間である。ここで、消費者と労働者をまとめた概念として家計を定義すると、貨幣は企業と家計の間で利用されていることになる。企業と家計の関係において、賃金と貨幣は同じ意味となる。

結局、購入する時に支払う貨幣は、伝票に対してである。ごろごろ水とお金は関係ない。ごろごろ水は、常に自然であり、お金とは関係ない。自然物をどうやって購入するのか、謎だと考えたが、謎ではなかった。小売店の値札も伝票と考えれば、伝票に対して貨幣を払うことで自分の所有物にできる、自然物は常に自然物である。

自然物、商品、所有物と変化する行程は、自然物に伝票が添付され商品となる。伝票が封印の役割をして、商品は誰のものでもない状態になる。お金の支払で伝票が消滅し、封印の解かれた所有物となる。これは、企業体と消費者個人の契約であるが、消費者は労働者として企業から賃金を受け取ることで、企業と家計が絡み合う契約となる。このように、所有は社会と個人の契約として成立する。所有物は、元の自然物と同じで、貨幣価値は不定値となる。

また、賃金と伝票は始めに帳簿上に同時に生成され、その後、賃金は貨幣と交換される。賃金と伝票が対生成するお金であると解釈できる。