お金にならないお金の話

お金は使うと無くなる、これを公理とする

ストックとフロー

ストックとフロー

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図6 GDP相関式

商品は、労働によって生産されるのであるが、物体としては自然物と同じ性質を維持しており、そこに伝票が添付されることで価格を持つ。このような解釈が可能である。この解釈も、お金は使うと無くなる、を公理としている。

商品を拡張した概念が付加価値であり、付加価値には、サービス、財、商品、中間生産物、生産設備、インフラが含まれる。これらは、伝票の付随する財と考えることが出来る。付加価値は、さまざまな形態、目的があり、多様な表現があるが、付随する伝票に着目することにより、お金として扱える。

これまで、経済を付加価値のストックとフローと考えたが、より明確に、経済はお金のストックとフローであると解釈できる。ストックとフローの概念モデルは、水力発電のダムである。栓の開いた浴槽に水を貯めるモデルもあるが、ダムもストックとフローの関係を示している。

ダムに貯めた水とそこから流れる水には、エネルギ保存則が存在し、関係式が分かっている。ストック量として貯水の高低差h、フロー量として流速vにおいて、

v=√(2gh)

の関係がある。gは重力の強さを示す変数である。これをそのまま、お金に当てはめると、生産量=√2×√g×√貨幣量 となる。重力に相当する変数を投資と仮定する。投資を増やせば生産量は増えることから、妥当な仮定である。現実の統計値を対応させると、生産量はGDP、投資は資本形成と政府支出の合計、貨幣量は、高低差であるから、マネーストックと借金の和である。さらに、貿易は、外部からの圧力であるから、高低差に加える。これらをまとめると、GDP=√2×√(資本形成+政府支出)×√(マネーストックM2-日銀資産/2+輸出+輸入)、

Y=√2×√(I+G)×√(M2-H/2+Ex+Im)

これは、GDPの相関式である。バブル前後の統計データと相関式の値を比較すると、経済の変化を適切に示している。バブル、バブル崩壊(1991年)、インフレとデフレ、リーマンショック(2009年)と相関式が対応している。貨幣のストックが圧力であることが理解できる。

これは、物理的流体と貨幣にアナロジーが成立することを示すが、解釈は難しい。人間には、受けた恩を返さないと落ち着かない性質がある。これと同じように、お金があると使いたくなる、借金は返さないと落ち着かない、そのような性質があることになる。人間には、貨幣量が圧力として働く。個人の性格ではなく、人間の特性である。

簡素に関係を示すと、生産量=√貨幣量、であり、ストックとフローは比例ではない。但し、生産量=√(投資量×貨幣量)とも示すことができ、貨幣供給が投資に限定される場合は、生産量と貨幣量は比例関係となる。