お金にならないお金の話

お金は使うと無くなる、これを公理とする

お金と保存則

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図6 GDP相関式

お金と保存則

マネーストック国内総生産の間にエネルギ保存則が存在することが示された。Y=√Mの関係が成立する。経済がお金の流れとして機能しているのであるから、不思議ではない。お金と保存則について考える。

貨幣は、人と企業の間を循環し、決して消失することなく、保存することも可能である。貨幣は保存則を満たしており、貨幣に対する信頼の要因と考えられる。貨幣に保存則が成立しない場合、突然消えたり、湧き出したりする。偽札が許容された世界が保存則の無い貨幣の世界である。政府が厳しく貨幣の偽造と毀損を罰するのは、貨幣の保存則を維持する為である。

以上の考察は、二重の間違いによって、貨幣の保存則を説明している。二重の間違いによる現象の説明は、非常に一般的で、日常的に採用されることが多い。現象を分かりやすく説明することが多く、科学的に正しい考察を駆逐する。反対に、二重の間違いを見つけること、分かりやすい説明に疑問に感じることは、正しさに近付く方法となる。

保存則は、任意の系における不変量の存在であり、変化しないことであり、無くならないことではない。数値で示される場合は、増えることも減ることも無い、合計が常にゼロであることが、保存則である。通貨残高は増え続けており、通貨は保存則を満たしていない。そして、偽造と毀損に厳しく対処するのは、保存則を満たしていない通貨を維持する為である。保存則を満たすシステムは自立して存続する。

それでは、保存則は存在しないのか。継続しているシステムには保存則が存在することが多く、その保存則を探すことが科学の目的であり、保存則が発見された現象と理論の集合を学問と呼ぶ。お金の学問が確立していないことから、お金に保存則が存在するのかは不明である。

お金は使うと無くなる、一方で、一万円札は移動するだけで無くならない。この現象を理解する為に、お金にならないお金の話、を進めている。これは、お金の保存則を探す考察とも言える。命題「お金は使うと無くなる」は、命題「お金は保存則に従う」と同値である。

現状の結論は、お金は保存則に従うが、通貨は保存則に従わない。貨幣システムの人為的制御により、通貨の保存性を維持している。今後の方針は、銀行の無い経済のお金について考える。銀行の無い経済モデルで説明可能な現象を確認し、その後、銀行の役割を考察する。考えがまとまれば、理解される努力を続ける。