お金にならないお金の話

お金は使うと無くなる、これを公理とする

フローダイアグラム

フローダイアグラム

付加価値が収支式で示せることから、フロー図による記述も可能である。フロー図はシステムの不整合を排除する目的などで作成される。設計作業では先にフロー図を作成し、全体の整合性を確保しながら細部を作り上げる。今回は、細部を組合せ、不整合の無い全体図を作成する。ジグソーパズルの要領である。フロー図は情報共有にも有用である。先ずは、収支式を整理する。

①    生産Y=資本減耗D+賃金W

②    生産Y=資本形成I+消費C

③    資本蓄積ΔK=資本形成I-資本減耗D

④    資本蓄積ΔK=貯蓄S

⑤    貯蓄S=賃金W-消費C

⑥    資本ストックK=Σ(資本蓄積ΔK)

⑦    貯蓄残高ΣS=Σ(貯蓄S)

Σは合計の意味であり、積算値、残高を示す。

これら7つの式は、経済の基礎式である。経済思想とは関係なく、資本蓄積を伴う経済は必ず従う。この基礎式は、図1付加価値フローダイアグラムとしてまとめられる。

 

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図1 付加価値フローダイアグラム

このフロー図の作成は、消費によって付加価値と貨幣が対消滅し所有物に成る、を前提としている。結果として、この仮定を肯定するフロー図となっているが、証明はしていない。7つの基礎式を満たすフロー図が他にも成立する可能性がある。しかしながら、仮定が正しい可能性を示していることも確かである。

このフロー図は、実物経済をすべて含んでおり、実際の経済現象の多くを説明することができる。経済現象の説明は順次行うが、ここでは資本ストックについて説明する。フロー図において、付加価値のストックは資本ストックのみである。その他の要素、生産、資本減耗、資本形成、賃金、消費、資本蓄積はすべてフローである。フローは一定期間に流れた量として統計データとなるが、この一定期間を短くしていくと流れた量も少なくなる。ある瞬間を考えると、量は無くなり速度だけが残る。瞬間を考えると、実体として存在しているのはストックだけである。見ているものはすべてストックであり、フローは統計値として確認している。即ち、目に見える付加価値は全て資本ストックであり、店頭の商品、店舗、道、電柱、住宅、工場、公園、堤防、山林、すべて資本ストックである。目に見えるもので資本ストックで無いのは、空と海が天然であり、人が身に着けているものが所有物である。日本人は、資本ストックの上で生活し、資本ストックを生産し、資本ストックを消費している。