お金にならないお金の話

お金は使うと無くなる、これを公理とする

スライムKの守護者

スライムKの守護者

資本ストックが日本全土を覆っていることは事実である。触れられるものは、資本ストックと自分の所有物だけである。自然に触れることはもうできない。資本ストックとは、お金で買えるものと考えて良い。適切な手続きを行えば適切な価格で購入できる。即ち、世の中お金が全て。

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図には、資本ストックK=貯蓄残高ΣS、を追記した。スライムKは、資源を賃金Wの価値として取り込み成長する。同時に、貨幣として賃金Wが人に支給される。人は賃金の返却と交換に放出物を受け取る。人が賃金を返却するとスライムKは縮小する。人が受け取った賃金を全て返却するとスライムKは消滅する。人が賃金を返却しないことがスライムKの生存条件であり、貯蓄残高の増加がスライムKの成長である。即ち、守銭奴がスライムKの守護者である。

スライムKが小さい存在の時は、賃金の返却とスライムKの縮小の関係を人は理解できる。人がスライムKを育てる状態である。スライムKの上で人が生活する状態になると、人は自分の周辺しか理解できない、スライムKの存在すら意識しない。スライムKが成長する為には、賃金を返却しない制度を構築する必要がある。

単純に、お金を使わない文化を構築する方法がある。葬儀では、故人がどれだけの貨幣を蓄えたかを賞賛し、その子孫を称える文化を作り上げる。日本にはこのような文化は無い、お金は墓場に持っていけない。世界には、使えないお金があり、そのお金を持つことが誇りであり、賞賛の対象である文化がある。この貨幣はロロイと呼ばれる。

制度構築の第一段階は、賃金の重要性を相対化することである。これは、信用通貨を大量に発行することで実現する。スライムKと賃金の関係を希薄に感じさせる。次に、賃金の保存が得だと思わせる制度である。郵便貯金は利回りが高く、政府が保証し、非常に優れた制度であった。良くあることであるが、日本人が一人勝ちする時は、欧米がルールを変更して禁止させる。保険、年金も賃金の保存を指向させる。こちらは、人の恐怖心を利用する。もうひとつの方法は、スライムKのダミーを作り、こちらに賃金を誘導する。株式がこれに相当する。

このように、金融システムはスライムKを成長させ、保護する制度である。制度が発達するほど、スライムKはさらに軽視される、皮肉である。