お金にならないお金の話

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電池の価格

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電池の価格

人間が電池として利用される話は、映画マトリックスである。話しが進むと、人間はコンピュータの演算素子として接続しているが、電源であることの重要性はあいまいになる。物語において電池は神話であり、直面する解決すべき課題は、コンピュータの一部として生きるか、独立した個体として生きるかの選択である。

人間が体内で電気を発生させることは確かであるし、そのエネルギを取り出すことも可能である。一方で、人間の生存にはエネルギ補給が必要である。日々の食事において摂取カロリーの計算が可能であり、このカロリーはエネルギの単位である。エネルギ源であれば、人間が食べる食料を燃やした方が効率的である。マトリックスは、演算素子としての人間を重視し、副次的に効率の悪い電池を採用している。

普段利用する電池は、百円ショップで購入可能である。20種類以上が用意されており、形状だけでなく、方式も複数ある。マンガン電池、アルカリ電池、リチウム電池、空気電池が存在する。これらの使い切り電池も大型化により、電気自動車での利用も可能である。現在は、充電式の電池が主流であるが、これも効率の問題である。使い切り電池の発電効率よりも、充電用の発電、即ち石炭火力発電の効率が高いため、充電式電池が採用されている。

最近普及した電池に太陽電池がある。太陽電池は家庭用電力の発電に利用される。太陽電池による発電の増加に伴い、電気代が上乗せされることから、既存の石炭火力発電と比べて効率が悪いことが分かる。電池の分類では、太陽電池は使い切り電池に分類できる。寿命が長く、百円ショップの電池よりも効率が良いものの、電池の一種である。

このように、生産技術の優劣は、要求性能の達成とコストダウンである。生産技術は安さが重要であり、安いことで多くの人に普及させることができ、安さは製造の省力化でもあるから、新たな生産に人員を振り分けることもできる。技術開発の半分はコストダウンが目的であるから、生産技術の半分は経済である。技術者にとっての経済は、高いと売れない、安さが正義であり、一番札が勝者となる。厳しいが単純な経済原理である。

太陽電池による電力は、石炭火力発電の電力よりも高額であるが、生産量が増加している。コストを生産技術の指標とすれば、太陽電池の普及は考えられない。コスト以外に太陽電池が売れる原理があることになる。太陽電池電力は人気があるので値段が高く、石炭火力電力は人気が無いので安くなると考えると、需要と供給の均衡で価格が決まると説明できる。

割高な電力が売れるのであるから、価格はコスト以外の需要によって決まる。この現象は工学とは対立する。生産技術は、コストダウンによって生産余力を生み出し、新たな商品を開発する。新技術と新商品が人々を幸福にすると、工学は考える。

太陽電池の原料は砂である。砂を電気分解して金属に還元し、太陽電池に加工する。金属は時間と共に酸化して砂に戻る、砂に戻らないようにする為には人間が手入れする必要がある。人間が手入れするには、人間が生きる為のエネルギが必要である。人間が必要なエネルギを発電する為に、電力と人間の労力を消費して、太陽電池を製造している。それならば、始めに砂を電気分解する電力を、直接生きる為に利用すれば良い。その方が効率的であり、コストも安い。

マトリックスが人間に食料を供給し、人間から電力を取り出すのと同じである。電力を使って太陽電池を製造し、そこから電力を取り出す。発電に関して、太陽電池は完全に無駄である。余計な作業の分、コストは増加し、CO2の排出量も増加する。

太陽電池発電の電力で、さらに太陽電池を製造する。元の太陽電池よりも多く製造できれば、太陽エネルギが太陽電池を際限なく増加させ、電力を際限なく生産できる。発電コストはどんどん安くなる。このような現象が発生すると、砂は際限なく金属に変換され、地球上の砂は無くなる。現実の地球は砂だらけであり、この現象は自然法則に反する。即ち、太陽電池発電のコストは安くならない。

現在の太陽電池の発電コストは、安い石炭電力で製造した太陽電池での実績である。太陽発電の電力で太陽電池を製造し、その太陽電池で発電すれば、今よりも高額な電力となる。その高額な電力で太陽電池を製造すれば、さらに高額な電力となり、このサイクルは破綻する。太陽電池による継続的な発電は不可能である。

太陽電池発電が増加する原因を推測すると、マトリックスの類推から、安定的に砂を金属に還元する必要性が考えられる。砂を還元した金属珪素の量産が必要であり、副次的に太陽電池発電を行っている。別の推測は、補助金獲得のポジショントーク、全世界的なマルチ商法、お金儲けの手段として太陽電池発電を行っている。

論点が定まらないが、コスト以外の需要が主導する価格決定は、生産技術の発展と相性が悪く、一方でマルチ商法と相性が良い。太陽電池は、発電に対しては完全な無駄であり、コスト高であり、CO2排出量を増加させるが、コンピュータの性能向上に貢献している可能性がある。良し悪しの判断はできない。マルチ商法であれば、33%の普及で破綻する、もう新規参入者は儲からない。今のところ日本の技術者は冷静で、石炭火力発電を縮小する計画は無い。